健康診断結果に再検査の要請がある方へ
健康診断で検査の値に問題が見られ医師の所見が付くと、健康診断結果の封書に再検査の案内が同封されます。案内をご確認いただき再検査を受診ください。
再検査の要請は2種類あり「労災二次健診」では、事業主は労働基準監督署に報告を求められます。
「二次健診」:労災二次健診に該当しないが医師から「要経過観察」、「要精密検査」等の所見あり
これらを受診することはもちろんですが、その後に通院治療をされない場合はその症状により「会社の産業医による就業判定」において、就業制限が掛かったり、休養を求められ勤務ができなくなることがあります。治療しないでいると動脈硬化に伴う脳梗塞や心筋梗塞、網膜症、腎症および神経障害などさまざまな病気が懸念され、実際に医師の就業判定により業務負荷を軽減させられたり、車の運転制限など業務を制限させられたりすることもあり、最悪の場合休職等で収入が減じることがあります。
「労災二次健診」、「二次健診」の対象となった場合は、通院治療を要する症状であると認識いただき今後の自分自身の生活の確保のためにも、必ず「健診」を受診し、その後に「通院治療」を行い、症状を改善いただくようお願いいたします。
健康診断結果による再検査の有無にかかわらず、皆様におかれましては日頃から適正受診を心掛け、自分自身で健康を管理し、健康生活をお楽しみいただけたら幸いです。
油研健康保険組合
1.労災二次健診
以下4つの健診結果全ての値が平常値ではない方は「労災二次健診」の対象となります。
「労災二次健診」を受診したかどうかについて、事業主は労働基準監督署に報告を求められて
います。
「労災二次健診」の受診は業務時間内に公用で受診可、指定医療機関であれば無料で受診できます。
「労災二次健診」後の通院治療は、通常の保険診療となります。
※二次健診は、初回の健診を含め通常の保険診療になります。
2.労災二次健診の判定項目
①HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)
赤血球中のヘモグロビンという色素のうちどれくらいの割合が糖と結合しているかを示す値です。
一般的に4.6〜5.5%程度が正常値とされており、HbA1c値が高いと、高血糖状態が慢性化し、血管
にダメージを与え続けると言われています。
②血糖値
血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことで、通常であれば食前の値は約70~100mg/dlの範囲です。
③脂質値
血液中の中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール、総コレステロールの数値を
調べ、脂質異常症(高脂血症)の疑いがあるかを調べます。基準値としては以下となります。
総コレステロール (T-cho) 140~199 mg/dl
中性脂肪 (TG) 30~149 mg/dl
HDLコレステロール(HDL-cho) 男女:40 mg/dl ~
LDLコレステロール (LDL-cho) 60~139 mg/dl
④血圧
高血圧の基準は家庭血圧で 130/85mmHg 以上とされています。
3.会社の産業医による就業判定
会社の産業医は健康診断結果を確認し、通常勤務、就業制限、要休業といった3区分で判定します。
①通常勤務
通常の勤務で問題なく、9割以上の方がこれに区分されます。
②就業制限
勤務に制限を加える必要のあるものです。
勤務の負荷を軽減するため、就労時間の短縮、出張の制限、時間外労働の制限、労働負荷の制限、
作業の転換、就業場所の変更、深夜業の回数制限、処方される薬剤により自動車の運転制限などの
制限を判定します。更に事業主は就労制限に加え通院時間の確保などの処置を要します。
③要休業
勤務を休む必要があるものです。療養のため休暇・休職等により一定期間勤務させない指示を出し
ます。事業方針の生産性の維持に対し障害となるだけでなく、本人の収入にも影響します。
4.懸念されるさまざまな病気
①動脈硬化に伴い脳梗塞、心筋梗塞など
血糖値が高い状態は、血管に大きな負担をかけ動脈硬化を進行させます。動脈硬化とは血管が硬く
もろくなってしまうことを指します。その結果、脳梗塞や狭心症、心筋梗塞、末梢動脈疾患
(PAD)などのリスクを高めます。末梢動脈疾患(PAD)とは、足の血管の動脈硬化によって血管
が細くなり詰まるなどして痺れ、痛みを生じ、最終的には潰瘍(被覆上皮が欠損しその下層に至る
こと)・壊死(細胞が死滅すること)へとつながる恐ろしい病気です。
②網膜症・腎症・神経障害
網膜症:目の網膜の血管が障害され、視力低下を招き、最悪の場合失明に至ります。
腎症:腎臓の機能が低下し、腎不全に至ります。人工透析が必要なこともあります。
神経障害:手足の末梢神経が障害され、痺れ、麻痺などをきたします。傷に気づけず、
壊疽(死滅した細胞に腐敗菌がつくこと)に至ることもあります。
これら3つを合わせて「糖尿病三大合併症」と言います。
③その他の疾患
血糖値の上昇により細菌が活発化し歯周病が悪化、肺炎・尿路感染症・皮膚感染症の症状が悪化す
るなど合併証を引き起こすことがあります。また、近年では認知症との関連も指摘されています。